「卑怯というのは敗者が最後に吐く言葉だ ⇒ 卑怯者… ⇒ 超ウケる」の流れが神懸っている件【喧嘩稼業】

佐藤十兵衛 喧嘩商売/喧嘩稼業

2019年8月現在で、11巻まで発刊となっている喧嘩稼業。
ここまでで、陰陽トーナメントは既に4試合が終わっています。

そのすべてが名勝負で、簡単に優劣を付けられるものではありませんが、それでも無理やり「ベストバウトを選べ」と言われたら・・・

僕なら、第2試合の【佐川徳夫 VS 佐藤十兵衛】と答えます。

理由は、「圧倒的な実力差がある中で、それを引っ繰り返して佐藤十兵衛(さとうじゅうべえ)が勝利した」という点。

そしてもう一つ。
喧嘩稼業で伝説的に痺れるやりとりである、

十兵衛 「卑怯とか言い出さないんだ?」

佐川 「卑怯というのは敗者が最後に吐く言葉だ」

からの、、、

佐川 「卑怯者・・・」

十兵衛 「超ウケる」

が生まれたからです。

本来なら埋めようがない実力差

まずは、2人の実力差について。

第2試合となった【日拳の佐川 VS 現代格闘の佐藤】は、前述の通り圧倒的な実力差があります。
それなりのルールがある状況での試合ならば、何をどうやっても佐藤十兵衛では勝てないでしょう。
(陰陽トーナメントで禁じられているのは武器の使用くらい)

佐川徳夫は、やったことのない野球でドラフト1位指名を受けてしまうほど、バケモノじみた運動神経を持っています。
それだけの才能を持っている上に、幼い頃から徹底的に日本拳法を叩きこまれた徳夫。
強くならない訳がありません。

対する十兵衛は、単純な強さだけで見た場合には陰陽トーナメント最弱の出場者。

しかし十兵衛は、なんでもアリの『喧嘩』に関しては天才的。
頭の回転が異常に早い上、勝つ為にはどんな卑怯なことも全く躊躇せずに実行します。

そして、工藤優作に喧嘩で負けてからは、「諦める」という能力が欠如しています。

佐藤十兵衛(C)Yasuaki Kita 2015/講談社 {引用:喧嘩稼業3巻}

どんな不利な状況になろうとも絶対に諦めない・・・というか諦めることができないという点も、主人公『佐藤十兵衛』の強さの一つでしょう。

 

しかしそういった十兵衛の喧嘩の強さを鑑みても、やはり佐川に勝てる要素はほとんど見当たりませんでした。

それぐらい、埋めたくても埋めようのない絶望的な差があったのです。

 

第3試合の『櫻井裕章 VS 入江文学』も、そこそこの実力差がありました。
十兵衛の師匠にして、古武術の達人である入江が思わず、

入江文学(C)Yasuaki Kita 2017/講談社 {引用:喧嘩稼業9巻}

と口走ってしまうくらい、シラット使いの櫻井の強さは抜きん出ていました。
結果的には、『経験値』や『覚悟』の差で入江文学が紙一重の勝利を収めるのですが。

 

しかし、佐川と十兵衛の実力差はそれとは比較にならないほど別格。
ちょっとやそっとの卑怯な手を使ったところで、天地がひっくり返っても十兵衛の勝利となることはありません。

佐川 「卑怯というのは敗者が最後に吐く言葉だ」

では、佐藤十兵衛はどういう手段に出たか?
この記事を読んでいるということは、ご存知の方がほとんどでしょうが、、、

そうです。

試合開始前煉獄を叩き込む」

という予想だにしなかった卑怯な戦法を実現します。
もちろん、この卑怯な戦法を実現するために、十兵衛は十重二十重に罠を張り巡らせていたわけですが。

煉獄(れんごく)とは、空手の頂点『進道塾』の秘技であり、初手をがっつり喰らってしまうと脱出することができなくなる連続技。
反撃しようとすればより一層深いダメージを受け、倒れようとしても倒れることさえ許されず、煉獄を放つ者が攻撃をやめない限りひたすら防御に徹するしかないという、無敵の連続技です。

これをまともに受けたことにより、大幅に体力が削られた佐川徳夫。
試合開始前から既にフラフラ。

この弱った状態の徳夫じゃなければ、十兵衛は5分とリングの上に立っていられなかったでしょう。

 

その後も、

■観客にサクラを忍ばせて、佐川徳夫が弱った状態のまま有無を言わさず試合を開始せざるを得ない状況を作り出す

■効いていない金的に対して、効いたフリをする

と、手段を選ばず自分のフィールドへ持ち込もうとする十兵衛。

そんな十兵衛も、ふと徳夫の心情が気になったのか、

佐藤十兵衛(C)Yasuaki Kita 2016/講談社 {引用:喧嘩稼業7巻}

「卑怯とか言い出さないんだ?」と問い掛けます。

すると徳夫は・・・

佐川徳夫(C)Yasuaki Kita 2016/講談社 {引用:喧嘩稼業7巻}

「『卑怯』というのは敗者が最後に吐く言葉だ」
「お前のは『弱者の知恵』、尊敬に値する」

非難するどころか逆に賞賛を与えるという、スポーツマンシップに則った綺麗な回答。

これは、負け惜しみではなく本心からの言葉でしょう。
この時はまだまだ自分の勝利を疑っていなかったはずなので。

 

それにしても、、、

「卑怯というのは敗者が最後に吐く言葉」

このセリフは本当に刺さりましたね。
勝負事、特に喧嘩なのだから、最終的に負ける方が弱かったということであって、どんな経過を辿ろうとも一度出た結果に対して卑怯だなんだと言うのはみっともない、ということでしょう。

負けた時にそんな言い訳をするくらいなら、最初から喧嘩の場に出てこなければいい。
そういう意味も込められた、実に芯を食った言葉に思えます。

この部分を初めて読んだ時は、「徳夫カッコいい・・・生まれ変わったら徳夫のような人間になりたい・・・」と思ったり思わなかったり。。。

とにかくまあ、それくらいビビビっときたセリフだったのです。

それがまさか、徳夫に特大ブーメランとなって返ってくるとは・・・

佐川 「卑怯者・・・」 ⇒ 佐藤 「超ウケる」

そして、試合もいよいよ終盤に。

ここで佐藤十兵衛は、極めつけとなる、

■前の試合で梶原修人が残した毒『屍(かばね)』を活用

という、もはや卑怯というくくりに入れていいのかどうかも分からない奇策に出ます。

この毒は、500gで全人類を滅亡させることができるとされている、自然界に存在する毒素としては最も強力な『ボツリヌス菌』
早めに解毒しなければ、高い確率で死亡してしまいます。

しかし十兵衛は、「動くと毒が回るから動かない方がいい」という嘘をつきつつ、徳夫の体に毒が回りきるまで会話を続けます。
実際は、動こうが動くまいが毒は回ってしまうので、だったら早めに動いて十兵衛を倒しにかかった方がまだマシだったのですが。

そして、もう動こうにも動けないほど毒が回りきったところで真実を告げる十兵衛。

最後の最後まで自分の勝利を疑っていなかった徳夫でしたが、ここでついに心が折れ・・・

 

佐川徳夫(C)Yasuaki Kita 2017/講談社 {引用:喧嘩稼業8巻}

 

「卑怯者・・・」

という、敗者が最後に吐くセリフを口にしてしまいます。

 

すると十兵衛はすかさず。

 

佐藤十兵衛(C)Yasuaki Kita 2017/講談社 {引用:喧嘩稼業8巻}

 

「超ウケる」

性格の悪さもピカイチの佐藤十兵衛ならではの返し。

しかし、どこか痛快にも思えてしまいます。
何せ徳夫は、喧嘩の場では何があっても口にしてはいけない言葉を口にしてしまったのですから。

 

そしてこの直後、心臓を強打して相手を失神させる富田流の奥義『金剛』が炸裂。
十兵衛勝利で幕を閉じるのでした。

余談

それにしても、当初の組み合わせ通り石橋強と闘っていたら一体どうなっていたんでしょうね。

運動神経や格闘センスだけでいけばトーナメントで1,2を争うであろう佐川徳夫ですが、石橋の別格すぎるフィジカルの強さとタフネスを考慮すると、技術やセンスだけではどうにもならないような気が・・・

【佐川徳夫 VS 石橋強】は幻の一戦となってしまいましたが、「いつか、何かしらの形で実現してはくれないだろうか」なんていう夢みたいなことを考えている僕がいます。

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